小川の辺

小川の辺 【初回限定版】 [DVD]

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映画を観に行った。小川の辺
平たく言うが、あまり面白くはなかった。冷静に考えてみると原作の話も、藤沢周平の話のなかではあまり好きなほうではない。何故かというと主題がボヤけているような気がするのだ。劇的な要素がなにもない。
せいぜい語られたのは妹たちとの幼少時の思い出くらいで、それも、正直菊池凛子があまりにも可愛くないせいで、ちょっと、こう、うん。まあそういうことだよ。親友は人格描写もほとんどなく、妹と親友の描写も少なく、主人公の家も正義も、藩からの理不尽な命令さえもいまいち描写不足であって、このあたりは活字をそのまま映画化しようとしたがゆえの弊害であったような気がしないでもない。
あ、しかし文句なしに面白かったのは、親友と戦うときの抜刀シーン。様子を見て、様子を見て、様子を見て、脊髄反射のように無意識の抜刀を一瞬でやる、というあの描写は最高によかった。そこだけは文句なしによかったが、しかし時代劇をそれなりにやれる人というのはだいたいアレくらいはやれるものなのだろうか。凄いなあ。
しかし、まだ見てはいないのだが、鳥刺しくらい劇的な要素盛りだくさんだと面白いのかもしれないなあ。武士の一分は長距離バスの中で見てしまったせいでオイオイ泣いてたいへん周囲の人間に怪しまれたことが未だに思い出される。