ジャンルとしては過去改変モノ。
純然たるタイムパラドックスではなくて、「失われた記憶」という形で空白だった幼少期のある時期を大人になってから意識だけを行ったり来たりすることによって、振り返るように体験して歴史を変えるという、いわば「時をかける少女」や「タイム・リープ」、そして「トゥルー・コーリング」あたりを配合して割ったようなストーリー展開でありました。
時をかける少女が「未来人」に物語の構造を丸投げしてたのに大して、「特異体質」の一言で片付けたあたりに、ある種の英断とやけっぱちのようなものを感じる。こういう部分は小説版だとなんか適当な理由が付いてたりするものなのだけど、どうなのかな。あまり読む気もしない。
まあ、その、一言で言えば、
非常に面白かった。僕はこういうが大好きなのだ。
うん。大好きなのだけど、至って普通の展開だった。
歴史をより良いものに変えよう足掻く中で段々と酷い結末にシフトするあたりの展開は非常に面白く感じたのだけど、単発エピソードを延々と見せられているだけのようにも思える。最初の三十分で複線を張って残りの一時間三十分で複線を回収する構造だというのは理解してるのだけど、もうちょい何かなかったものか。
最後から二番目の「総ては君の罪悪感からくる妄想だ」という結末のときにエヴァンが色々とメモをしていたけれども、あれの意味が最後まで結局わからなかった。最後の最後で自発的にああいう文章を書く意味はなんだろう。
…そして、なるほど。確かに別EDは蛇足だ。
幼馴染属性を持つ身としては、引越しパーティーのときのエヴァンの台詞は、たとえケイリーのためであったとしても胸が引き裂かれんばかりであった。エヴァンとしてもさぞかし辛い選択であったろうに。俺ならケイリーたちの親父を有無を言わさず通報してケイリーたちを母親の元へと送り、頻繁に遊びに行くことで絆を絶やすこともしない……といった結末を選んでしまいそうだけど、それだとケイリーたちの親父が不幸になるもんな。
まあ、ネタがバレたら総てが終わりといった内容ではあったので、小説を読んだあとにこれを見ても生で見るよりも楽しむのは厳しいかもしれないな、とは思ったですよ。
総評としては、星三つ半といったところだろうか。
こういうのが好きな人は見て損はないと思う。俺とかな。