はてな年間100冊読書クラブ:008

新選組烈士伝 (角川文庫)

新選組烈士伝 (角川文庫)

新撰組烈士伝。一冊読もうと思えば即座に読めるな。
どうでもいいけど、今「そくざに」を変換しようとして「そくざん」を変換してしまい、一発で「即斬」になった新撰組まみれの我がPC。

燃えよ剣と、新撰組血風録を読んだあとに読んだのは失敗だった。
面白かったけども、惜しむらくは読む順序の逆だ。これを読んだあとに前の二冊を読むべきだった。

なんだかな。客観的な事実が少ないうえに、唐突に「現代の時代劇などにおいては〜」などという演出過多に対する解説がはいるのだけど、そんなことは知ってるし、僕はそんなのが知りたくてこの本を読んでるんじゃないんだ。
「ゴムまりのように跳ね跳んだ」とか時代小説で言われてもな。

  • 「血汐首」

ガキのころ、久々の傑作純文学! とかいううたい文句で躍り出てきた失楽園を読んでみようと思ってちょっとだけ読んでみたときのような失望感。
どうも僕はこういう作風が苦手であるらしい。

ぐむ。これも燃えよ剣のあとに読むべきではない。燃えよ剣の1エピソードを膨らませただけに見えてくるあたり、僕は痛い司馬信者のような立場にいるのかもしれんな、と思った。

浪漫だなあ。原田左之助は実は生きていたっていう話が最後にちょっと入るだけで、文章全体への印象もまるで違ってくる。印象操作といえばそれまでだけど、まあ、文章なんてのは印象操作の塊だしな。
斉藤のみならず、永倉とか原田はきっと、るろうに剣心の連載が続けば場合によっては出てきたりもしたんだろうなァ。北へ向かった宗次郎編で永倉が、弥彦の逆刃刀の日清戦争編で原田。みたいな。読みきりかなにかでやんねえかなあ。

  • 「散りてあとなき」

うーむ。人気があるのはわかるんだけど、僕はこういうお涙頂戴っていうのを狙いに狙った話は好きじゃないな。
もうちょっと淡々と描いた上で、その無常観みたいなものの尾を引かせる手法なら、まだ心も動くのだけど。

読み終わったあとでさえ「斉藤先生超つえー」くらいしか感想が出てこない。読み物としてはどうなのだろう。武田観柳斎の人間的魅力みたいなものを描写する様子が見うけられないので、器の小さい狡い男が殺されるべくして殺された、で、僕の中では完結してしまうんだな。

続けてるろ剣の話でアレですが、和月さん絶対これ大好きだよ。るろうに剣心からはこの小説の匂いがする。斉藤先生が素敵過ぎる。
ラストの再会シーンはまさに名場面だな。