はてな年間100冊読書クラブ:016

あしながおじさん (新潮文庫)

あしながおじさん (新潮文庫)

久美沙織さんをこよなく愛する人間にとって、この本は世間一般で言われているよりもっと素晴らしく感じられるのではないかと思う。オチが読めるとかそんなことはどうだっていいんだ。
ジュディの発想力や言い回し、エルトダウン・シャーズの挿絵を抜粋したかのような独創的な絵、絵本のように、童話のように、夢見る乙女の日記のように書き綴られる一連の手紙からは、ジーン・ウェブスターがいかに人と世界と子供たちの幸せを愛しているかということがよく伝わってくる。いや読んでよかった。面白かった。
だが名作中の名作であると聞くに及び恐らく日本でも名前を知らない人はないほどに有名であろうこの作品を、しかし実際に読んだことがある人にお目にかかったことは今に至るまで一人としてないのは何故だろう。