はてな年間100冊読書クラブ:041

切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)

切り裂きジャック・百年の孤独 (文春文庫)

まあこんなもんかといった印象。リッパロロジスト舐めてんな、この人。
ホームズを読んで育った割に僕はそもそもミステリをあまり読む人ではないので、正直なところそんなには期待していなかったのだが、まあ、面白さとしてもその程度であったろうと思う。
ジャック=ザ・リッパーに対する考察がどうの言うつもりはないのだ。だが雰囲気とノリ重視で、ミステリとして当然語るべき部分を疎かにしている部分が妙に多くて辟易する。最後の最後での犯人の服装なんかがその最たるものだったし、極度の興奮状態における心理描写とかも疎かになっているように思う。僕は真っ暗闇で娼婦を軍用ナイフ一本で解体して内臓を引きずり出したりしたことがないのでなんともいえないが、特に強く鍛えているわけでもない女性が二日で五連続も結構出来るほどに体力の消耗しない作業なのだろうか。ましてや、いつ見つかってもおかしくない状況下で。そのあたりのフォローがあまりに軽過ぎてリアリティが非常に足りなかった。挙句、ユダヤ人の落書きとカールの指の青インクに関しての説明はあまりに酷くて閉口ものだ。
読んでいるときはそれなりに面白かったのだが、オチがな。オチが酷い。唐突に出てきた名探偵が、無能な警察官をおちょくりながら真実を小出しにして話し、それを材料にメシをたかるといった図は非常にフィクション的で、こういった描写も好きではない。
僕なんかは切り裂きジャック事件について大いに興味を引かれているわけだけれども、そうでなかったら星2つにも満たないのではなかろうか。