はてな年間100冊読書クラブ:043

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)

OK、声を荒げよう。面白かった。
その他大勢に過ぎない僕が書物に送ることの出来る最大の賛辞だ。金を払ってよかった、明日にでも続きを買ってこよう。まともにそう思えるライトノベルはいつぶりだろう。司馬遼太郎隆慶一郎が食事だとするのなら、茶菓子を喰うように読める。気楽でいいな、これ。
いや、まあ、そこまで大げさに言うほど大絶賛、というわけでもないんだけどね。ことこの巻に限れば。

最初の5ページ読んでオチがわかった。
既視感がして、キョンの宿題が終わっておらずハルヒの宿題が既に終わったことがあれだけ強調されれば、流れとして当然こうなるわな。ただハルヒが「みんなで宿題をする」ということに魅力を感じているという複線を、ほんの少しでも張っておくべきではなかったろうか。

あまり印象に残らない話だったのだが、エピソードがキチンと「SOS団がやるからこそ起こり得る展開」になっていることは当然だが素晴らしいことだ。この最低限度の縛りすらも守っていないライトノベルのなんと多いことか。
段々とハルヒが丸くなってるな。作者がそもそもとても気のいい人で、酷く書こう酷く書こうとしても地が出てしまうのだと推測するがどうだろう。

面白かったのは間違いないのだが、毎度毎度トリックと状況はとにかくとして、オイラーの多面体定理の法則に関するパズルはあまりに唐突感あふれており、不思議な館事件を仕込んだのは誰だろうっていうのは複線として納得できるけれども、パズルに関してはどうも納得がいきかねる。そうでないと古泉とキョンの活躍がなくなるであろう、というのは当然あるだろうけれども、なんかなー。無理にそれっぽさを演出しようとしなくても構わないはずなのだが、世間はそうは思っていないのだろうか。
あと妹が超萌える。そうそう、こういうガキいるよな。兄貴に甘やかされたのか多少ワガママなのと行動力が抜群なのを除けば、思考や行動は僕が幼いころのそれとまったく同じだ。雪の中で転ぶのって超楽しいよな。「ゆきだるまくん!」…という一言に、キョンがこんな性格していながらも、妹のことをどれだけ愛してきたのかがよくわかる。年齢はなれた妹はそりゃ可愛いわなー。