はてな年間100冊読書クラブ:048

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

新装版 隠し剣秋風抄 (文春文庫)

この淡々とした感じは僕の好みではない、という言葉が総てであろう。面白くなかったなどということは決してないのだが、ただ、趣味にあわなんだ。藤沢さんが楽しめないってのはこういった本を読む人間として恐ろしく不覚ではないのか、俺。
いや、楽しめないというと御幣があるな。楽しめた。面白かった。短編なのにことごとくキャラクターが立っており、僕の評価基準のひとつである「面白い表現やキャラ造詣」という点でも申し分なかった。盲目剣谺返しなどは、なるほど映画化しようと思わせるだけの面白さはあったと思う。
だが、なんかこう、もしかすると僕は短編であるがゆえにのめり込みきれなかったのが辛いのかもしれない。感情移入したい人なのだな、と思えばそういう気もしてくる。とりあえずたそがれ清兵衛も読んでみて、藤沢さんの本をもっと読むかどうかはその後に考えよう。
しかし時代劇の主人公とは、他の連中はどうもその道だとパッとしていない印象があるのだけど、木村さんも大きくなったね。