The Making of 墨攻 [DVD]

The Making of 墨攻 [DVD]

僕はエンターテイメントを見にいったのであって、一山幾らにもならない反戦映画を観に行ったわけではないのだぞ。ちくしょう。
どいつもこいつも主張が一貫してなさ過ぎるのがイライラする。平和を望むなら平和を望むので構わないが、戦争に対する理論が飛躍し過ぎていて意味不明だった。なんでそこで言い澱むんだよっていうタイミングで大抵のキャラクターが沈黙するのでストレスがたまり、五歳のガキでもわかるような青臭くて根本的解決にはまるでならない理想論に固執する主人公には感情移入も出来ない。
理想と現実が別だからこそ戦争なんてものが起こるのがわかってるはずなのだから、動こうと思えばいくらでも動けたであろうと思うのに、人心掌握のひとつもやっておかなかった所為で最後の場内決戦が起こったことがわかってるのか。そんなことにまで意識のいかない人間が稀代の軍師などと笑わせおる。
仮にも将軍職まで上り詰めたような人間が、青二才の説得如きで簡単に考えを覆していく様はリアリティがあるとかないとかいうレベルではない。そんなことはすべて噛み分けた上で軍にいるのではないのか。死者は生き返らないが、生きている人間は子孫を残すことが出来る。ゆえに、生きていれば勝ちだろう、どう考えても。
これがキャラ配置が逆ならいいんだ。青二才の率いる大軍を老獪な武将が撃退する話。つまり徳川秀忠vs真田昌幸的なアレソレであればさしたる積み重ねもなく痛快な感じが出たであろうに、これは最初からそうするつもりがないタイプの映画であり、つまり僕が望むべくして観にいった内容ではまったくなかったということであり。
つまり、その、なんですか。がっかりですよ、ということです。
そして配役もおかしくないか。アンディ・ラウのすっきりした顔立ちがどうも軍師といった雰囲気ではない。いや、これが言い掛かりであることは重々承知の上だが、それでもやはり言っておきたい。