漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

漆黒の霧の中で―彫師伊之助捕物覚え (新潮文庫)

面白かったけども、お婆ちゃん! これ二冊目じゃんよ! 続刊じゃんよ! なんで一冊目を一緒に貸してくれないのさ!
江戸ハードボイルドという新境地を見た。
一作目見てねえと何がどうだっていうのは少ないけれども、井戸端会議から潜入操作、襲い来る刺客の刀や匕首柔術で撃退しあるいは逃げ切ってゆくテンポは流石だ。井戸端会議への聞き込みなんて三度もあったというのに、メリハリや前後の流れを上手いことつけてあるので「またか」といった感じをまったく受けない。流石周平ちゃんだ。
いや当たり前のことなんだけど、気分屋で怒りん坊な親方の存在がそれに一役買ってるってのは、キャラクター配置の妙味だと思うんだな。こういうところは覚えておかねばなるまい。
あといつものことではあるのだが、メシがここまで美味そうなのは何故だろう。新鮮な魚を喰わす店、という単語がここまで魅力的なのは周平ちゃんの本だからか、あるいは読んでいる僕が和食大好きだからか。