はてな年間100冊読書クラブ:030

墨攻 (新潮文庫)

墨攻 (新潮文庫)

ありゃ。映画とまるっきり結末違うのな。
見たのがいくらか前なのではっきりと覚えているわけではないが(つうか結末がおぼろげってどういうことだ俺。まじめに見てなかったのか)、映画だと普通に生き延びた気がするのだけれども、小説だとおくたばりになった。主人公がね。
攻城兵器とか陣形、心構え、軍師としてやるべきこと、統率などから話の流れにいたるまで特に目新しいものはなかった感じだ。新城直衛の統率力に比べたらこやつのそれは人身掌握を軽んじた節もあり、運が悪かっただけのような気もするし、難しいところだが兎に角なんかぐぐっと来るものがなかった。多少事実を踏まえた話であるなら目新しくない攻城兵器をヤバイブツであるといった誇張をまじえて書くべきだと思うのだがそういうのもなかった。
結局のところ僕はこういったものよりも、もうちょっと架空的でも稀代の名将とかそういった連中の戦いが見たいのであって、相手を猛将猛将と賛辞しつつも猛将っぷりがまるきり出てこなかったあたりとかも含めて、優れた武将が数だけ多い無能を蹴散らす様にしか見えず、どうも凄さが伝わってこない。主人公の視点から話を進めてるのである程度は仕方がないのだろうが、それにしても民衆の指揮の高さくらいはあえて描写してしかるべきではなかったか。
読み物としては、短編だからか、もっとこってりした感じで読みたかった題材ではある。漫画も出てるんだったか。漫画にすると生きる題材だろうと思うので、古本屋あたりで見かけたら買ってみよう。