はてな年間100冊読書クラブ:034

真剣―新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱 (新潮文庫)

真剣―新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱 (新潮文庫)

端的に言うと、剣聖・上泉伊勢守信綱が真の格闘家を目指す、という話。実際には格闘家ではなく兵法家だが、まあ細かいことはいい。
情景をきっちり描写するタイプの作家だねえ。
情景を想像させるように描く人と、キチッと描いて伝えてくる人といるわけだけども、この人は後者だ。宝蔵院との決闘シーンなんかはまさに決闘といった感じのジリジリ感が伝わってきて素晴らしい。見習いたい。
が。
僕が好きだったのはやはり、甲斐武田軍を相手に五十騎のみを引き連れて夜襲をかけ大混乱に陥れたのち悠々と帰城したとか、そういった戦のシーンだったので、それ以外の部分が長いこの作品は、それほどまでに面白かったかというと微妙なところだった。いや面白かったんですけどね。