はてな年間100冊読書クラブ:045

というわけで、シリーズ読み終わり。
すべてが終わったこの場所から、ふたりの道がはじまる。っていうようなエンディングを誰より望む僕としては、どうも、この手のエンディングは納得しがたい。いや超面白かったんですけども。
ストレス発散が苦手なガキなのだな、というのが最初から最後までの浅羽のイメージだった。
いや、この手のウジウジした感じでしかも善良っていう人間にはありがちなことだと思うのだが、逃避行のときだって自分に依存しきってる可愛い可愛い女の子と一緒に旅をして暮らすというのであれば、やることはひとつではないのか。世界なんか滅んじまえよ的な倫理観糞食らえの旅をしているのだから躊躇する理由は何もなかろうと思う。それでも浅羽はイリヤの性的な面から目をそらし拾ったエロ本で自慰に耽り、イリヤイリヤで罵倒されただけで人格障害を起こすほどの依存というのは恋だの愛だのとは呼べまい。まして、それが中学生同士というなら尚更だ。
これが明確に恋になったのは、最後の最後、僕はイリヤが好きだぞ、と叫んだあたりであろうな。イリヤも嫌がらないだろうし、浅羽もきっと照れながらも互いの体温を求めていくであろうと思えるのだが、そういう意味でも彼らの物語はまさにあそこから始まるといえるのではないか、と思う。
の。だが。
ここで終わりで、しかもイリヤの死を匂わせることすらするのね。泣けるわ。
彼女は戻ってくることなく、一年、二年とたつうちに浅羽はイリヤをだんだんと思い出さなくなり、違う女を愛して、子を生み、ある日イリヤに似たような女を見つけてハッとするけれども、しかしなんとはなしに時代は過ぎ、移ろって行く。
もう妻にも先立たれ、老いて箸より重いものが持てなくなり、うっかり机の下に落としてしまったときに、ふと思い出すのだ。あのときの恋を。世界のすべてより愛すると誓った、ありし日の君を。もうすぐ会えるだろうかと、そんなことを思いながら。
…というあたりまでやってくれるなら俺好みだったのだが。
万人受けしないにもほどがある件について。
つうかアニメ化してるってマジか。正気かよ。