はてな年間100冊読書クラブ:073

戦塵外史 野を馳せる風のごとく (GA文庫)

戦塵外史 野を馳せる風のごとく (GA文庫)

各地で絶賛されてるようだが、本気で言ってるのかそれは。ダリウスは普通に劣化前田利益(というか「ぼくのかんがえたかぶきもの」とかのほうが近いかもわからん)だし、歴史小説の書き方を真似して情景描写の手を抜くだけでむしろ骨太であるとか言われていれば世話もない。
戦術的にも大いに疑問がある。行き当たりばったりに「失敗したときのことは考えるな」とかいうのは自分の力量を過信して他の戦力を大きく見積もり過ぎていることに他ならないし、「楽天的に戦をやる」のと「後詰がないのを危機感を持って考える」というのを同一視するのはいかにも薄っぺらい。「戦人は運もいい」っていうのが一夢庵風流記ほどキチンと描かれていないので、行き当たりばったりをむやみな強運でくぐりぬけているようにも見える。松風の同一存在みたいな馬がいたが、これはそもそも存在自体不要だ。
休むべきは豪胆に休む利益と違ってそういった面もないので、なんで一週間もこのまま持つと思ったのか理解しがたい。相手方の士気がガタ落ちたのもほとんど偶然みたいなもんだし、ちょっと頭の働く参謀が相手にいれば明らかに負けていた戦であっただろう。…むう。
どうしよう。2巻3巻も買っちまったな。10年前の作品だからこの程度である、と思いたいが。