トランスフォーマー リベンジ

ふと冷静になって考えてみるに、俺はどうやら純粋なアクション映画という奴を見ることが出来ない身体になりつつあるようだぞ。アクションはとにかく話的にはもうまったく面白いと思えなかった。
と、言うのも、俺にとってこの映画は、世界滅亡の危機ってのがいくらかスケールアップしただけのことで、話はだいたいよくあるアクション映画のようにしか見えなかったんだな。
太陽が消滅しようが核の嵐が降ろうが機械が自意識に目覚めようが人類は滅亡するときは滅亡するわけで、ストーリーとしては、手段は違えどそういう「世界の危機」をアメリカ軍が勇敢に戦って無理だったのでロボットがやりましたよ、というロボットという点のみが特異である。かといって別にロボットがいないのでセガールがやりましたよ、という具合でもなんら問題なく話は成立しうるわけで、そういう意味では一山いくら以下のひどいストーリーだったといっていい。あと○○でないと○○は倒せない、とかいきなり言われても。言われても。証拠を示すべきであり、実際地力をもって倒したというよりはあのジジイの武装を使って倒したわけで、ではジジイが若いころなら普通に倒せてたんじゃん? という気もする。
ああ、あとジジイが便利すぎる。ストーリーは全部あの得たいのしれない傭兵あがりがわめくようにして親切丁寧に口頭で教えてくれたので大変わかりやすく、いきなり地球の裏側までテレポートなどもしてくれたためストーリー的に大いにショートカットができ、ラスボスを倒すための武装などもすべて無料で提供してくれるという大変気前のよい爺様であった。なんだこのジジイ。ナメてんのか。
まあその、矛盾をいうようだが俺はセガールが大好きであり、そうするとトランスフォーマーが大好きな人はこの映画も大好きなのかもしれん。しかしメリケン人は運命というか信じるものは救われる的な猪突猛進が大好きだなあ。たとえ無謀な突撃に見えてもヒーローには弾丸など当たらぬ、という信仰心が見える。しかし例によってこれも俺にはたまたま居合わせただけの男が運命論的な楽観主義者になって「自分がやるべきことだ」と思い込んで突撃していくだけのようにしか見えない。物語補正で弾にもあたらんし、死んでも即生き返るという。普通に考えて敵は主人公を追ってるんだから、アレはヒロインが持って別行動をすべきではなかったか。
映画としては極めて微妙なレベルだが、ターミネーター4と同じくファン・アートや同人誌としては極めてハイレベルであり、世界最高クラスであろう。好きな人は見ればいいんじゃないか。