一匹二百円などという俺の日常からは信じがたい値段の秋刀魚を食べたのだが、味もまた信じがたいほど素晴らしかった。
俺は九州人でありながら恥ずべきことに魚の肝を苦手とする男だが、すらすらと喰い終わってしまったあたりにこやつの凄まじさが見え隠れする。
舌が痺れるほどの塩辛さを醤油とカボスで洗い流し、水気をやや少なく炊き上げた米で味わう至福の時よ。ああ、美味すぎる。生きててよかった。そして食後の濃いお茶の喉を焼く熱さの快感たるや。