マギ

マギ 1 (少年サンデーコミックス)マギ 2 (少年サンデーコミックス)
ゴルタスはいい奴だなあ。絵に描いたような「誇り高い原住民」という感じで、とてもいい。「そんなことはない。君も一緒にいこう」と、誰か言ってやればよかったのに。せめて最後に一言だけでも言ってやれば、ゴルタスはそれだけできっと救われたような気持ちで安らかに死を待つことが出来たであろうに、なぜ誰も声をかけてやれなかったのだろう。
と、いうようなところも全部含めてだが、全体的に「物語を読んでいる」という感じがするのは、感情移入すべきキャラクターが配置されていないから、ということになるのだろうか。アラビアンナイトがモチーフであるということで、あるいは意図的にやっているのかもしれんなどと思ったが、冷静に考えれば「すもも」もそうだった気がする。「すもも」は最初の数冊しか読んでないけど。しかし、ちゃんと話の描ける人は登場人物の数をも絞るものだ、というのは僕の持論だが、この漫画のキャラクターの絞り方は半端ではない。たいしたもんだ。
でもおもしれえな。なんだこれ。アラジンがときどきするような笑顔とか、「うん、いいよ」みたいな顔がすげえ恐ろしいのは俺の心が汚れてしまっているからか。奴隷根性が染み付き過ぎていて物理的にはいつでも逃げられるのに逃げ出すことのできない奴隷、というのはとても素敵だ。あとゴルタスが。ゴルタスが、しかし死んでしまったのが悲し過ぎる……。
モルジアナは原作だと(実際あれほど狂ったように読んだというのにまったく覚えておらずgoogle先生にお伺いしたのだが)アリババと結婚することになるようなので、もうちょっと出張ってくるのかな。いいことだ。