孤将

孤将 (新潮文庫)

孤将 (新潮文庫)

面白かったか面白くなかったかでいえば、まあ、面白くはなかった。生身の李舜臣を書きたかったとか、人間臭い李舜臣を描きたかったとか色々といいたいことはあろうが、ことごとく成功しているとは言いかねる。
なんかこの手の話でありがちな、自分と部下たちだけが未来を憂いていて、自分と部下たちだけが戦争について悩んでいて、自分と部下たちだけが勝利するとでもいうのか。「島津奔る」とかもそうだったが、自分ひとりが聖人君子であって他の連中は粒揃いの卑劣漢であるみたいな描き方は主人公を英雄的に描くにはいかにも気楽なものだが、それ徹底されるともはや薄ら寒いとかいうレベルですらなく。
訳者がいかんのかなあ。それとも韓国では国家レベルの英雄らしいが、だから五十万部も売れたのか、あるいは韓国の方々がこういうのが好きだというただ価値観の相違というそれだけなのだろうか。