騒音や排気ガス

俺だって排気ガスは臭いと思う。
あまり好ましいものではなく、なるべくなら嗅ぎたくはない。ただ最近ときどき考えるのだが、俺はこの町が好きである。なにもねえなとは思うし、たとえば東京などに出て行ったほうが仕事もあるのだろうとは思うが、それでもこの町が好きである。何がいいたいのかというと、騒音や排気ガスは基本的に忌避すべきものではあるが、それはそれとして、それらもまたこの町の一部ではないか、ということである。
たとえばいつか俺に息子や娘が出来たとして、そいつらの長所のみを愛することが愛といえるだろうか。どうしようもねえところは改善してやりたかったりはするかもしれんが、実際問題そういうところがあるからこそ魅力的といえるかもしれん、と思う。
つまり生まれ故郷の匂いくらいは愛してやりたいものだ、ということが言いたい。それが排気ガスであろうと、土の匂いであろうと、俺の故郷には違いあるまい。排気ガス削減の流れとかも色々あるが、いつかこの排気ガスの匂いが、老人だけが知っている懐かしい匂いになる日が来るわけだよな。そう考えると多少は好ましく……いや、別に好ましく思う必要はないか。
つうかカエルうるせえ。まだ肌寒いくらいなのに、こんなに熱心に鳴いてエネルギーは持つのか。近々田んぼ見物にいこう。