父親たちの星条旗 (特別版) [DVD]

父親たちの星条旗 (特別版) [DVD]

チキンナゲットを喰いながら平然と見たのだが、もしかして最近の僕はグロ画像耐性が付きつつあるのかもしれん。昔は考えられんかったけども。
イーストウッドが「エンターテイメントを望むなら他の映画を見てくれ」と言ってたのでそういうものとして覚悟して見たのだが、思ってたよりはずっと面白かった。
イーストウッドってこういうの撮れるんだなあ。それともアメリカ大好きスピルバーグの手管が大いに混じっているのか。
反戦映画であるのは、まあ、間違いないだろうとは思う。「硫黄島からの手紙」を見ていない僕でも内容が完全に理解できたあたりそういう部分もちゃんと気にしてあるってことだし、余韻の引き方がどうも上手くないなとは思ったが全体的には面白かった。レイトショーだったので1200円支払ったのだが、その価値はあったと思う。
ただ、言いたかったことはよくわからない。密林レビューでも書いていたけれども、このままでは息子たちは「親父は戦友のために戦ったに過ぎない」といったことを言いそうな気がするのだが、この映画がいいたかったことというのは明確にそこではないと言い切れるだろう。話の主題と物語の結末が一致していないので、なんとなくモヤモヤしたまま終わった感じがある。
戦争に資金が必要であるのは当たり前なのだから、英雄を祭り上げて国債を買わせようとする手法はプロパガンダ的といえばそうだが実行して当然のことでもある。心情的にはアイラの行動は理解できるが、戦争に勝つためには心を押し殺してでもやるべきではあっただろう。そのあたりがどうにも、僕は戦争を体験していないのでむしろ大統領側のプロパガンダの正当性の方を強く感じてしまい、そのあたりも最終的な印象に関わってきているように思う。
死ぬのが嫌なら戦争になんか志願するんじゃねえっつーの、というのも戦争を体験していない人間の思考なのは間違いないのだが、しかしその認識を覆すだけのインパクトはなかったな。
ところで。
白人どもがジャップジャップと連呼するシーンの翻訳が「日本人」となっているのは意図的なものか、それとも縛りがあるのか、あるいは戸田女史の宗教上の理由か。妙な訳し方も幾つかあったしなァ。なんというか。いつものことではあるけれど。