はてな年間100冊読書クラブ:024

剣闘士スパルタクス (中公文庫)

剣闘士スパルタクス (中公文庫)

英雄譚かと思ったらそうでもないのな。
いいねー。統率者としての色々なしがらみを金繰り捨てて、ただ、やりたいようにやる。というスパルタクスの心境の変化は素晴らしい。
全軍を滅ぼしてまでやることかよ、と、まあ、思わないでもないけれど。
特に肥え太った老婆と化したかつて情婦との褥が素晴らしい。浅ましく醜いまでに己を愛してくれた女は、たとえ豚のようでも、たとえ老婆と成り果てていても、やはり世界でもっとも女としてすら愛おしいものなのだと。同じく肥えた豚のように弱かったローマがスパルタクスという強敵を得てみるみるうちにかつての精強さを取り戻す流れは感動すらする。いや面白かった。
そしてどうでもいいが、T3とほぼ完全に同年代なのな、これ。