はてな年間100冊読書クラブ:039

われ、謙信なりせば (祥伝社文庫)

われ、謙信なりせば (祥伝社文庫)

最後は結局こうなるんだよなあ、と思わざるを得ない。景勝と兼継の関ヶ原における「上杉なめんな!」っていうスタンスは大好きなのだが、しかし結局こうならざるを得ないところが難しいところだ。同じ「せめてもう少し関ヶ原が長引けば」と無念を味わった黒田さんちのお爺ちゃんはアレな感じに描かれることが多いのに、こっちは何故いつもこうなんだ、というところはオリジナリティを生み出せてないとも言えるのであって、この本はそういう意味で微妙ではあった。
謙信よりもなお謙信であった景勝と、美しくも醜くも謙信であった兼継というのは俺の中で新しく、そこは面白かったが、うーん。しかし結局これか、という点はやはりぬぐえないところだ。
いや、上杉の末路としてこれはもっとも美しい形ではないかとは思うのだが。思うのだが、どうもなー。むう。まあ、実際ここの感覚といえば長宗我部の作品を読んだときの、元親の家臣粛清のあたりがもやもやするのと同じようなものだろうから、まあ、そういうものなんだろうとはわかってるんだけども。