はてな年間100冊読書クラブ:029-30
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1985/09/27
- メディア: 文庫
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上杉と武田は世間で超がつくほど有名で人気があるだけにむしろ積極的に読まないスタンスをとってきたへそ曲がりな俺だが(風林火山は読んだけど)、謙信と信玄はとにかく、景勝と勝頼はいい。戦国ファンにとってはとにかくとしても一般的には程よくマイナーであり、勝頼などは長篠合戦あたりで全滅しているイメージが独り歩きして、実際の武田崩れまではしばらく時間があることがあまり知られていないあたりが特にいい。
むう。出だしからして話が逸れとるわ。
直江兼継は正直なところ好きでも嫌いでもないのだが、景勝は、史実で見られようなる腹黒い謀略の男というような側面にはほとんど触れられず、義の人・謙信の後継者であることと、関ヶ原の挙兵についてのみ語られるのは大抵の大衆小説のごとくであり、まあ、実際大衆小説であろう。
一番面白かったあたりが草同士の暗闘というあたりに藤沢周平の真骨頂を感じる。隆慶一郎のような露骨な忍者戦などではないのに地味に面白く、しかも相変わらず味噌をつけた握り飯などという程度のものがなにゆえこれほどまでに美味そうなのか。形容詞とか一切使わずただそう書いているだけなのに、なんか妙なオーラを感じる。