新装版 酔って候 (文春文庫)

新装版 酔って候 (文春文庫)

読書禁止は、もはや限界だ。禁断症状がうぎがががが。
百冊クラブなど知ったことか!
幕末の四賢候である山内容堂の「酔って候」、伊達宗城の「伊達の黒船」、四賢候・島津斉彬の弟である島津久光の「きつね馬」、そして鍋島閑叟の「肥前の妖怪」以上四篇による短編集だが、ずばり四賢候である松平春嶽は話の端々には当然(と言うべきか)出てくるが、主題にはなった短編はない。聞いたことはある気がするので別の本に載っているのだろうか。
一番好きなのは伊達宗城と嘉蔵の話でありこれもかなりの司馬節炸裂という具合だが、司馬節の真骨頂という感じなのは島津久光だな。山内容堂の話はむしろ西郷の「殺せばいいじゃない」という思考のあまりの突き抜けっぷりが逆に感動すらする。その発想はなかったわ! と驚く大久保の顔が目に浮かぶようだ。
鍋島閑叟の話は司馬さんに珍しく「痛快感」とでも言うべきものがほとんどなかったため、俺のような「そういう点」を重視して読んでいる読者にはウケが悪いのではなかろうか。