数学ガール

これを読んでいると、僕が数学から取り残されていったころのことを思い出す。
僕のクラスの担当だった数学の教師は「(x-2)(x-3)」を解くと「x^2-5x+6」となる、というような問題を出すわけだが、何故そうなるのか、と聞いても「なるからなるんだよ」みたいなことを言う男であり、そもそも三つ上の俺の兄貴の担任をやっていた教師なだけあって妙に馴れ馴れしかったのも関係しているのかもしれなかったが、とにかくまともに説明してもらえなかった記憶がある。
子供心に(といっても既に中学生だが)「何故-2xと-3xを足すのか」というのが当時はいまいち納得がいかず、例えばx=4としてみて、「(4-2)(4-3)=4^2-4*5+6」というような計算をまず普通にしてみて、その後に「(4*4)+(4*-3)+(4*-2)+(2*3)」というような計算をしてみるようなガキだった。
実際答えはどちらも2となり、何パターンか試してみた結果、教師のいう解き方が「どうやら正しいらしい」と理解はするのだが、「そんな裏技みたいな解き方をするほかないのか」というような妙な感想と共に愕然としてみたりした。もちろん納得もいかなかった。
で。この後のあらゆる要素に関して一事が万事この具合であり、自分なりに必死に解析して考えてみて理解はするのだがしかし納得はいかない、という流れが数年も続くころにはもう蛇蝎のごとく数学が嫌いになっており、その手の数学はいわば算数と違って「俺の身近な数字」とはなりえてなかったという側面もあるため、「なんだあの得体の知れない数字をもてあそぶような勉強のジャンルは(あえて学問とか教科とは言わない)」などというそれこそ得体の知れない考えに凝り固まり、隣の席だった女の子が数学が苦手でどうやって解くのかを数学の時間のたびに質問してきていたのだが、ちょっとした喧嘩と席替えがあってそれもなくなったという小青春イベントでトドメを刺され、数学はもう放棄した。で、文系に進んだ。
まあそんなことはどうでもいい。後輩の胸部がだんだんと強調されなくなっていくのは何故だ。どういう需要と陰謀によるものだ。