【ワーナー公式】映画(ブルーレイ,DVD & 4K UHD/デジタル配信)|ベンジャミン・バトン 数奇な人生

自伝っぽくやるならこれくらいが妥当なところであろう、というような妥協をやってしまった感じの映画と書けばなんとなく伝わるだろうか。以下バレます。
自伝形式というか、ベンジャミン・バトンが書いた日記を読むことで過去を振り返るという形式の物語であるため、どうも劇的さは薄くなりがちであって、物語の大幅な起伏が見え辛いというのはある程度やむをえまいとは思うのだが、それでも数少ない起伏であるところの出産とか出奔とかはもっといくらでも劇的に書けたはずであり、かつ、子供になりつつあることによって受けるベンジャミン自身が受ける弊害というのが作中でほとんど語られないため、どうもこう、デイジーが「その程度の女」というふうに見えてしまって魅力的ではないんだなあ。子供になりつつあるベンジャミンが一人暮らしを始めればいつかはこうなることがわかりきっているだろうに、そこはなにがしか考慮してしかるべきではないのか。
などと色々思うのはきっと小学校低学年のときに読んだ火の鳥宇宙編のトラウマがいまだに俺の中に残っているからであろうと思われ、あの劇的さに比べればこの映画はなんということのない人間ドラマであり、設定を生かしきれてないともいえるわけだが、それこそ「老人として生まれて赤子となって死ぬ」という人生を懸命に生きた人間の自伝的な側面の強い映画だと思えば当然こうなるべきであろうとも思え、しかしそうするとやはりデイジーの頭の回転のあまりの遅さが気になって気になってもう。デイジーそれはねえよ。
ゆえに、と言うべきか。これだけはいっておきたい。デイジーは子供のころのほうが圧倒的に可愛い。
幼き日の(つまり老いた姿の)ベンジャミンと幼き日のデイジーによる机の下の密会の背徳感というのはちょっとした見物であったが、俺なんかは、そのあたりを膨らませた展開のほうが見たかったんだろうなあ、きっと。