翔ぶが如く

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

新装版 翔ぶが如く (1) (文春文庫)

俺にとって、たかだが百数十年ほど前の人物であるところの大久保であり、西郷であり、木戸であり、板垣であり、伊藤であり、大隈であり、……といったメンツに実際に血が通って生きていた時代がある、というのは驚愕の事実であるわけだ。
いや、なにを言っているのかという感じだが、どうも俺には歴史上の人物は辞書とか社会の教科書の上で生まれて死んだ人間くらいの実感しかないようで、しかし当然そんなわけはなく、明治維新という一大転換期に日本中を縦横無尽に駆け巡った人間たちがかつて実際に生きていた、というのを、この本はちゃんと書いている。その一点のみをもってしてもこの本は読んでよかったと思う。もうちょい早く読んでれば、日本史の授業ももっと楽しかったかなあ。
つうか全十巻で、メインであるはずの西南戦争がはじまるのが8巻とかってマジかよ。坂の上の雲でも実際に日露戦争がはじまるのは随分後ろのほうだったから別に驚くにはあたらんが、そこまでこのノリが続くのか。すげえなあ。