近所のデパートというかショッピングモールというか、そういったところを何気なく徘徊していたときのことだが、書道展示会場という趣のスペースで大いに閑古鳥が喚いていたので踏み込んでいくと、手薬煉を引いていたおばちゃんたちにパンフとかそういうものをわらわらと渡されて相当に難儀をした。
そのへんに展示してあった、いわゆる、書、というやつだが、どーもおばちゃんとお婆ちゃんの間くらいの年代の女性の書きたがる内容ってのはどーも若造であるところの俺には共感し辛いものがあるな。時代の感性の違いというのか。イチローの「途方も無く遠くへ行くには目の前を歩いていくしかない」みたいな意味の言葉が貼ってあって、そのよこには「康介は水泳の天才ではなく努力の天才なんです」というような言葉が貼ってある。北島のことであろうか。して冷静に見てみればだいたいでかでかと貼ってある内容の書は概ね近い内容のものが多く、あの年代の女性たちは天才性というものをあまり許容していないのだなあ、と思えば、それこそ世代による感性の違いというのが見て取れて面白い気もする。
しかしうちの婆さんや母親や、死んだ爺さんたちなどはガチガチの才能主義者であったので、当たり前だが一枚岩ではないようにも思えるが、冷静に考えればうちの家系は全員技能職なので、そういったところにも思想的な理由があるのかもしれない。そーか、そうか。そうだな、冷静に考えれば、全員技能職だ。気付かなかった。俺も技能職やろうか。