はてな年間100冊読書クラブ:013

エゾの歴史 (講談社学術文庫)

エゾの歴史 (講談社学術文庫)

たまにこういうのを読もうとするから読書冊数が滞るのな。
明らかに僕のような素人が読む本ではなく、理解しながら読むのに酷く時間がかかってしまった我が身の不覚よ。
この手の本を読むに当たってどうしても他学説の否定からスタートするのは避けられんのかなー。この説はここが駄目、あれが駄目、それに矛盾があり、あるいは証拠がないとかそういった展開はなくてはならない部分であるのはわかるのだが、それにしても著者の海保嶺夫さんのガチガチに硬い思考が透けて見えるかのような書き方はよろしくないと思うのだがどうだろう。こうでないと研究者なんてやってらんないんだろうなあ。善し悪しも勿論あるが、意志の強さすら感じるのは流石だ。
第九章後半の近代化に関するコメントがあまりに安っぽかった。それがわかった上で書いてるんだろうというのは勿論こちらも伝わるのだが、明らかに蛇足だ。そして明らかに不要な文章のくだり(例えば閂に関する比喩の説明とか)が幾つか目に付くのを除けば非常に興味深かった。僕は素人なのであれこれ考えずに知識として使える程度に覚えておけばいいわけだしな。使う場面は皆無だろうけど。
だが、自身の学説のようなものを全部述べて、それが読み終わったあとに読む後書き部分で「学説とか読む前に先入観なく資料を読むべき」とか書いてるのに何らかの悪意を感じる。
…そういうことは一番最初に書いてくれ!