はてな年間100冊読書クラブ:032

捨て童子・松平忠輝(中) (講談社文庫)

捨て童子・松平忠輝(中) (講談社文庫)

隆慶一郎は面白いが、引出がすくねえ人なのかな。弥八郎と家康の会話を見るに影武者徳川家康と同じ世界観ということはなさそうだが。
鬼子つっても限度があらぁな、というような描写がどうも目立つ。
リアリティがないというか、天才とか常軌を逸した存在というのはそれはそれでいいが、しかし魅力ある人間として描くのであればそこに何らかの人間臭さは必要であり、忠輝のキャラクター的魅力の微妙さというのは恐らくそこから出ているのだろうと俺には思えるのだが、しかしGoogle先生にお伺いを立てたところによればそのような感想はほとんど見受けらなかったため、例えば一夢庵風流記(あるいは花の慶次)における前田慶次郎利益なんかは「気に入らんやつは誰であろうとぶちのめす」というあたりが人間的欠陥であり魅力にも繋がっていたと思うが、あっちにそういう印象を持っているのは読んだのが今の俺ではなく当時の俺だったからである、ということになるのか。今の俺が読むと印象が違うのかな。あるいは、原哲夫の描写力に完敗しているだけかもしれんが。
そして裏柳生の弱さはマジ勘弁だと思った。