人斬り半次郎(賊将編) (新潮文庫)

人斬り半次郎(賊将編) (新潮文庫)

いやいや、これはない。これはない。いったいどのあたりが快男児の生涯なのか俺に説明してください。納得できることをいった人には金一封さしあげますよ。
最後まで少しも面白くはならなかった。どうでもいい女性遍歴が延々と描かれるよりはいくらかマシになったといえないこともないが、キャラクターが酷過ぎる。
自分の都合が悪くなったらダンマリ決め込みガン無視を決め込み相手が諦めて帰るまでそのまま耐え切り結局相手の意見はなにひとつ取り入れない大久保とか、自分の意見がひとつでも通らなかったらへそを曲げて薩摩に戻ろうとする西郷とか、俺が今までよんだあらゆる大久保西郷のなかでもっとも酷いキャラクター設定がされていて見るに耐えない。おまえら小学生じゃねーんだぞ。もっと真面目にやれ。
桐野利秋にいたっては、戦略的戦術的才能が皆無な武勇自慢の男が調子に乗った挙句に恩師西郷を死地に追いやり自分も無駄死にした、という以上の書かれ方はしておらず、これを見て感動するとかいう感覚は俺にはわからん。